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  • 宮﨑 秀彦

ポーズだけでポジティブになれる!?心と体の関係。

 「パワーポーズ」という日本人からすると少し偉そうにも見えるポーズを2分間すると、自信が湧いてくるというお話をご存知でしょうか?ハーバード・ビジネススクールの社会心理学者エイミー・カーディ教授が提唱する方法で、面接やプレゼンテーションの前に行うと効果がでるそうなのです!


 この理論には批判もあるのですが、このメソッドの面白い所は、「体」が「心」を作るということです。心によって体が操作されていると考えるのが一般的ですが、逆にも影響するという事が新鮮な視点だったのです。


 いまでは筋トレでテストステロンという脳内物質が出て自信が出るというのは有名な話ですが、体と心の繋がりを研究した方で、有名な方が日本にいます。成瀬吾作という方で、元九州大学教授、医学博士・臨床心理士です。催眠の研究者だったのですが、心と体の関係の研究を行い「臨床動作法」という方法を確立しました。この方をご紹介したいと思います。


 1964年、催眠を研究していた成瀬先生のもとへ、身体障害者施設に勤務していた方から世界初の報告が届きます。脳性麻痺で動かなかった男の子の右腕が、催眠訓練によって真上まで一人で上げられるようになったのです。それまでの常識では、脳性麻痺は体の動きに影響する脳細胞が死滅するため、体の動きは治らないものとされていました。しかし催眠によって「腕が動かないと思い込み過ぎているんだ。本当は動く腕なんだ。腕が上がる」と暗示をかけると上がってしまったそうなのです。催眠が解けると元に戻るのですが、これを一年続けると楽に動かせるようになったそうです。


 これを受けて先生も研究を開始します。しかし催眠だとかなりの労力が掛かるため、別の方法が模索されました。脳性麻痺の運動障害は、体の部位を動かそうと意図した時に、過度な筋肉の緊張が起こることが原因であるため、筋肉を緩める方法が研究されました。その結果、他者が援助しながら、肩や腕、腰や膝、足首の力を入れたり抜いたりして、筋肉を緩める感覚を感じるという動作訓練によって、体を思ったとおりに動かせるようになる動作法を生み出しました。


 ここまでは心(意識)→体の関係なのですが、そのメソッドを使った訓練キャンプが広まり始めた1975年に更に画期的な事が起きます。この動作法で自閉症や多動症が良くなるという事が報告されました。先生も半信半疑だったのですが、キャンプに参加した4名の自閉症の子供が、最初は暴れまわり自分の世界から出ようとしなかったところが、2日目から変化が現れ、4,5日目には落ち着いてトレーナーとコミュニケーションが取れるようになったそうです。他の訓練キャンプでも多くの事例が報告され、動作法が有効であることが確認されました。そこから応用が進み、ダウン症、筋ジストロフィー、統合失調症などの治療にも有効である事が確認されて行きました。阪神大震災のPTSDの心理障害にも治療効果があったそうです。


 心の不安・悩み・不調などで心理治療を求めてくる人の場合、ほとんどの方が体のどこかに習慣的または慢性的緊張が見られるそうです。この緊張は無意識に発生しています。この様な緊張に自分で気づき、意識的に力を入れたり抜いたりして、徐々に特定の部位から体全体に広げ、リラックスするというのが動作法です。この過程で、自分自身を見直すという事が出来るようになり、自己効力感が高まるという事が無意識の部分に良い影響を与えるそうです。もちろん、言葉を使った治療もバランス良く組み合わせる必要があります。



この動作法、自分自身に気づくマインドフルネスとも似ていますよね。既に40年以上前に効果が確認された実践的手法が存在していたというのは驚きでした。冒頭のポージングによる一時的なテンションアップも良いと思うのですが、不要な緊張を取るというのは毎日の生活が快適になりそうな手法だと思います!ご興味がある方は是非書籍を御覧ください。

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